午後、外国語学部主催の演劇祭を見に行った。
いつもの市場の隣に、小さな映画館兼劇場がある。
外国語学部の英語科、日本語科の予選を勝ち抜いたクラスが劇場の舞台に立つ。
外国語学部だけあって、英語劇または日本語劇だ。
私は外国人教師なので、審査員として参加した。
舞台すれすれの「かぶりつきの席」。
審査用紙とともに水まで用意してあった。
舞台には、桂林山水を模したカーテン(っていうんじゃないよね、
舞台の奥の幕はなんていうの?緞帳じゃないよな)がかかっていて
幻想的な雰囲気を醸し出していた。
2時ごろ、開演。
司会の4人(中国語担当:男女2、英語担当:女1、日本語担当:男1)が
ステージに出てきて自信たっぷりに司会を務める。
そのあとは少数民族、瑶族の舞い。これも学生。美しい。
原色のサテンの民族衣装を身にまとい、手首につけた鈴を鳴らしながら
たおやかにしかし激しく踊る。
さすが中国。参った。
その後各クラスの演劇が始まったのだが、んもうぅ、どうしてどうして。
あまり期待していなかったのが失礼に思えてしまうほど
すばらしかった。
小道具、大道具に凝り、音楽にも凝り、配役・配音もぴったりんこ。
(俳優はくちぱくで演じ、声は配音担当者がマイクを使って担当する。)
衣装も「どこから借りてきたん?!」というような豪華なものあり、
「だれが作ったん?!」と思うようなかわいいものもあり。
特に日本語劇のほうがすばらしかった。
実は、日本語劇にはみっつのクラスが出たのだが、
ふたつは私が担当しているクラスでもうひとつは担当はしていないが
顔見知りの子が多いクラス。
劇の内容もさることながら、かわいいかわいい教え子たちが
舞台の上で個性豊かにパフォーマンスをする。
あぁ。
泣けてきました。
実際には泣かなかったけれども、確かに熱くこみ上げてくるものがあった。
夢中で写真を撮った。
ずっとこの子達を見ていたいなと思った。
私はコレクション癖があり、気に入ったものを手に入れると手放せなくなってしまう。
子どもの頃、学年が変わるたびに身の回りのものを整理していたが
捨てられないものが多くて結局毎年毎年大事なものが増えていった。
今でも捨てられないものがこの宿舎にもあふれているし
実家にもたくさん残っている。
今私は桂林へ来て、新しいものや人との出会いを手に入れてしまった。
しかし、7月には日本へ帰らなければならない。
ものは持って帰ることができても、人は持って帰れないし
私もここに居続けることはできない。
ここに居続けたとしても、学生たちはいずれ卒業して社会に出て行くし
いずれ別れの日はやってくる。
最近、人と人との出会いはどういうものなんだろうかと少し考えている。
私にとっての意味、価値。
私にできることは、出会った人のその後の幸せな人生を祈ることだけだ。
そして出会ったことを大切にしていくこと。
少しさみしいな。